デジタルノマドビザとは?
「海外でリモートワークしてみたいけれど、どんなビザが必要なんだろう?」
「観光ビザで仕事しても大丈夫?」
そんな疑問を持つ方に知っておいてほしいのが、デジタルノマドビザ(ノマドビザ)という新しい在留制度です。
これは、IT系フリーランスやリモートワーカーが合法的に海外に長期滞在しながら働けるよう設計されたビザです。
近年のテレワーク普及を背景に、世界中でこの制度を導入する国が急増しています。
ここでは、「デジタルノマドビザってなに?」という初歩的な疑問に対して、制度の基本と背景、他のビザとの違いをわかりやすく解説します。
制度の基本概要|どんな人のためのビザ?
デジタルノマドビザとは、特定の国に滞在しながら、外国の企業やクライアントとリモートワークを行う人向けの在留許可制度です。
一般的な特徴は以下のとおりです。
- 対象者:外国の企業に雇用されているリモートワーカー、もしくは海外のクライアントと契約するフリーランス・個人事業主
- 滞在期間:半年〜1年程度が多く、延長可能な国も
- 条件:収入要件(例:月収2,000ドル以上)や医療保険の加入が求められる場合が多い
このビザの最大の特徴は、「現地で雇用されずに滞在できること」。
つまり、観光でもなく、現地での就労でもない“第三の滞在方法”として、近年注目されています。
背景にある時代の変化|ノマドという働き方の普及
デジタルノマドビザが広がった背景には、働き方の変化があります。
- リモートワークの普及:新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が一気に普及し、場所にとらわれない働き方が一般化しました。
- フリーランス人口の増加:日本でも副業や個人事業主として働く人が増え、複数のクライアントと契約する働き方が主流に。
- 価値観の変化:「会社の近くに住む」「毎日同じ場所で働く」ことよりも、自分らしく暮らすことを優先する人が増加。
このような背景から、観光と仕事を両立できるライフスタイル=デジタルノマドがグローバルに広まり、各国がビザ制度を整備するようになったのです。
ノマドビザと観光ビザ・就労ビザの違い
「観光ビザで仕事してもいいんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、実はそこには大きなリスクがあります。
以下の表をご覧ください。
| ビザの種類 | 仕事内容 | 滞在の合法性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 観光ビザ | 原則として仕事不可 | ノマド活動はグレーまたは違法 | 滞在は短期(通常90日以内) |
| 就労ビザ | 現地企業に雇用される仕事 | 合法 | 現地のスポンサー企業が必要 |
| ノマドビザ | 海外クライアントとのリモート業務 | 合法 | 長期滞在OK、場所に縛られない生活 |
観光ビザでのリモートワークは、国によっては違法とみなされる可能性があり、最悪の場合は入国拒否や強制退去になることも。
一方、就労ビザは現地企業からの雇用が前提であるため、自由な働き方を望む人には不向きです。
その点、ノマドビザは「現地の経済に負担をかけず、自立して生活できる人」のための制度として設計されており、法律に基づいて安心して長期滞在・リモートワークを実現できる選択肢なのです。
次のセクションでは、「導入が進む国々とその理由」について詳しく見ていきます。どの国が導入しているのか、日本人におすすめの国はどこか?を知る手がかりになります。
導入が進む国々とその理由
「デジタルノマドビザってどこの国が発行しているの?」
「なぜ今、多くの国がこの制度に注目しているの?」
ここでは、実際に制度を整備している先進国の事例と、導入の背景にある各国の狙い、そして日本国内で注目される理由について解説します。
エストニア・ポルトガルをはじめとする先進国の事例
エストニアは、世界で初めて「デジタルノマドビザ」を導入した国のひとつです(2019年)。「電子国家」と呼ばれるほどデジタルインフラが整っており、行政手続きのほとんどがオンライン完結可能。英語も広く通じ、IT系ノマドにとっては非常に居心地の良い環境が整っています。
次に挙げられるのがポルトガル。
2022年に導入された「Digital Nomad Visa(D8ビザ)」は、月収2,800ユーロ以上のリモートワーカーを対象とし、最大1年間の滞在が可能(延長可)。リスボンやポルトではコワーキングスペースやコミュニティも豊富で、日本人ノマドにも人気です。
その他にも、以下の国が先進的なノマド受け入れを行っています:
- クロアチア:1年間のノマドビザ、家族の帯同も可
- ジョージア:「Remotely from Georgia」プログラムでビザ不要の長期滞在が可能
- タイ:LTR(Long Term Resident)ビザで富裕層・ノマド層を呼び込み
- ドイツ・スペイン:フリーランス向けの在留制度を早期に整備
現在、50カ国以上が何らかの形でノマド向けの在留制度を導入しています。
なぜ各国がノマドビザを導入しているのか?
背景には、各国の経済戦略と観光施策があります。以下の3つが主な理由です。
1. 観光依存経済の補完
パンデミックで大打撃を受けた観光業を立て直すため、「長期滞在者=安定的な収入源」としてノマド層に注目。
2. 外貨の流入
現地で雇用されることなく、国外の報酬を使って滞在先で生活してくれる人々は、インフレや失業へのリスクが低く、国にとって“好ましい訪問者”となります。
3. 高度人材の囲い込み
IT系・クリエイターなどの優秀な人材が一時的にでも滞在することで、イノベーションの波及や地域活性化も期待できます。
このように、ノマド層は「リスクが少なく、経済効果が高い滞在者」として各国から歓迎されているのです。
日本でも注目され始めた理由とは
日本でも2024年、ついに外国人向けの「日本版デジタルノマドビザ」が始動しました。
これは、一定の収入がある外国人リモートワーカーを最長6ヶ月間受け入れる制度で、福岡・沖縄などの地域ではすでにノマド向け施設・インフラ整備が進められています。
加えて、日本人の間でも以下のような変化が見られます:
- 企業によるリモートワークの常態化(完全在宅OKな会社も増加)
- 副業・フリーランス人口の増加
- 「東京以外で暮らしたい」という価値観の多様化
こうした流れを受けて、日本でも「海外で働く」「自由に暮らす」というライフスタイルが徐々に市民権を得始めています。
その結果、ノマドビザという制度自体への認知もじわじわと広がっているのです。
次のセクションでは、「デジタルノマドビザでできること・制限されること」について、実際の生活に焦点を当てて解説します。
ノマド生活って自由そうだけど、どこまで許されているの? そんな疑問を解消します。
デジタルノマドビザでできること・制限されること
「ノマドビザを取得すれば、どんな働き方ができるの?」
「自由に動けるって聞いたけど、制限はないの?」
デジタルノマドビザは、確かに自由度の高い制度ですが、何でもできるわけではありません。
このセクションでは、ビザを取得した後に実現できるライフスタイルと、注意すべき制限事項について具体的に解説します。
可能な働き方・生活スタイル
デジタルノマドビザを取得すると、その国に半年〜1年、場合によっては数年単位で滞在しながら働くことが合法的に可能になります。
主な働き方・生活スタイルの例は以下の通りです。
働き方の例:
- 日本や他国のクライアントとのリモートワーク
- 自分の事業やサービスをオンラインで運営
- クラウドソーシング・スモールビジネスでの活動(例:デザイン、翻訳、動画編集など)
生活スタイルの例:
- 海辺のコワーキングスペースで仕事しながら、午後はリゾートを満喫
- カフェ文化のある都市で、週末ごとにヨーロッパ各国を旅する
- 他のノマドとコミュニティを築き、情報交換やコラボレーションを楽しむ
仕事を維持しながら新しい土地で暮らすことが、ノマドビザの最大の魅力です。
一部の国では、ノマド専用の住居や行政支援も整備されており、従来の海外移住に比べてハードルが低くなっています。
制限事項(現地就労不可・納税義務など)
自由に見えるノマドビザですが、実はいくつかの明確なルールと制限があります。これらを理解せずに滞在すると、ビザの取り消しや法的トラブルになることもあるため要注意です。
現地企業での労働は禁止
- ノマドビザは“現地経済に直接介入しないこと”を前提にしています。
- そのため、現地企業に雇用されて働くこと(アルバイト・契約社員など)は不可。
- どうしても現地で仕事をしたい場合は、別の就労ビザへの切り替えが必要です。
税制・納税義務の違い
- 多くのノマドビザでは「現地で所得税を課さない代わりに、国外収入で生活してもらう」という設計になっています。
- ただし、一定期間を超えると納税義務が発生する国(例:183日ルールを採用している国)もあり、注意が必要。
- また、日本の住民票を残している場合、日本国内での課税対象となる可能性もあります。
その他の注意点
- 現地の健康保険には加入できない → 民間の海外保険で代替
- 国によっては「住民登録」や「住居証明書」の提出が義務になるケースも
- 子どもの帯同や教育を希望する場合、別途ビザまたは条件確認が必要
ノマドビザを利用する場合は、「現地で働かないが、その国で生活する」という立場をしっかり理解することが重要です。
次のセクションでは、どんな人がこのビザを取得できるのか?そのための条件とは?にフォーカスして詳しく解説していきます。
「自分が対象になるのか不安…」という方も安心してチェックできる内容です。
対象者・申請要件の共通点
「デジタルノマドビザって誰でも申請できるの?」
「フリーランスじゃないと無理?」
こういった疑問を抱く方も多いですが、実際には会社員でも、個人事業主でも、一定の条件を満たせば取得可能です。
ここでは、世界各国のノマドビザ制度に共通して見られる主要な申請要件について、わかりやすく整理して解説します。
収入条件・職種制限
多くの国では、申請者が「自立して生活できること」を示すために、最低月収または年間収入の証明が求められます。
収入条件の例(国によって異なる)
| 国名 | 最低月収の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ポルトガル | 約2,800ユーロ(約45万円) | 月収または年収証明が必要 |
| エストニア | 約3,500ユーロ(約55万円) | 銀行残高でも代用可能 |
| クロアチア | 約2,300ユーロ(約37万円) | 同伴家族がいる場合は加算あり |
職種の制限について
- 明確に「IT系」「クリエイティブ系」のみと限定する国は少ないですが、
“オンライン完結の仕事”であることが条件となることが多いです。 - 一般的に認められている職種:
- プログラマー、デザイナー、ライター
- コンサルタント、マーケター、翻訳者
- 動画編集者、Webディレクターなど
製造業・飲食業など「現地で手を動かす職種」は対象外です。
雇用形態や契約書の提示義務
デジタルノマドビザの特徴は、“どこで雇用されているか”よりも“どのように収入を得ているか”が重視される点です。
雇用形態の例:
- 日本や他国の企業にフルリモート勤務で雇用されている会社員
- 自身のフリーランス事業や個人事業を通じて収入を得ている人
- 海外に法人を持つ経営者・共同創業者
求められる書類(共通して多い)
- 雇用契約書またはフリーランス契約書のコピー(英文)
- 月収を証明できる給与明細、報酬明細、請求書
- 銀行口座の入金履歴・残高証明書(直近3〜6か月分)
特に「安定した収入が継続的にあること」は強く評価されるため、収入源の分散があると信頼性アップにつながります。
医療保険・パスポート残存など技術的条件
どの国でも共通して見られるのが、以下のような基礎的な技術要件です。
医療保険の加入
- 現地の公的保険には加入できないため、海外旅行保険や民間の医療保険への加入が必須
- 保険内容の条件例:
- 治療費をカバーする医療保険
- 渡航先で有効な期間の保険証書(英文)
パスポート残存期間
- ビザ申請時点で6か月以上の有効期限があることが基本条件
- 一部の国では申請時点で12か月以上を求める場合もあり
その他の要件
- 犯罪歴証明書(無犯罪証明書)が必要な国も
- 滞在先住所の証明(ホテル予約書、賃貸契約書など)
- ビザ申請手数料(50〜200ユーロ程度)と申請フォーム記入
申請プロセス自体はオンラインで完結する国も多くなっており、事前に必要書類を揃えておけば、比較的スムーズに進められます。
次のセクションでは、「どんな人にこのビザが向いているのか?」をテーマに、実際のケースやライフスタイルをもとに解説していきます。
「自分に合っているか知りたい」という方は、ぜひご覧ください。
こんな人におすすめ|ノマドビザが向いている人の特徴
デジタルノマドビザは、万人向けの制度ではありません。
しかし、条件とライフスタイルが合致すれば、理想的な海外移住の手段となります。
ここでは、ノマドビザが特に向いているとされる3つのタイプの人を具体的に紹介します。
自分の状況と照らし合わせて、適性をチェックしてみてください。
IT・Web系フリーランス
ノマドビザの恩恵を最も受けやすいのが、IT・Web系フリーランスの方々です。
向いている理由:
- ノートパソコン1台で仕事が完結
- クライアントとのやりとりは基本的にオンライン・非同期
- 時差を活用して、柔軟にスケジュール調整が可能
該当職種の例:
- プログラマー/エンジニア
- Webデザイナー/UI・UXデザイナー
- ライター/編集者/翻訳者
- SEO・SNSマーケター/広告運用者
- 動画クリエイター/YouTuber/写真家
コラム:
特にエストニアやポルトガル、ジョージアなどは、IT系スキルを持つ外国人にとって非常に働きやすく、コワーキング施設も豊富です。
海外クライアントとの仕事がある人
既に海外のクライアントと継続的な契約がある方は、ノマドビザの取得が非常にスムーズです。
向いている理由:
- 海外収入を証明しやすく、ビザ審査の信頼性が高まる
- 「なぜその国に滞在するのか」という合理的な理由を提示できる
- 取引先の近くに拠点を置くことで、対面の商談やネットワーキングにも対応可能
よくある業種:
- 外資系企業とリモート契約している個人事業主
- 海外クラウドソーシングで継続案件を獲得している人(例:Upwork, Fiverr)
- 日本在住だが、売上の半数以上が海外クライアントというケース
収入の通貨がドル・ユーロであるほど、ビザ条件を満たしやすいというメリットもあります。
在宅勤務が可能な日本企業の会社員
意外と見落とされがちですが、リモート勤務制度が整っている日本企業の正社員も、ノマドビザの対象となる場合があります。
向いている理由:
- 雇用契約書が明確に存在するため、収入と雇用の安定性を証明しやすい
- すでに在宅勤務しているなら、働く場所を変えるだけで実現可能
- ノマドビザの中には、「リモート社員」の受け入れを明示している国も多数
注意点:
- 企業側が「海外勤務」を許可しているか事前確認が必要
- 労災・社会保険の取り扱いがどうなるか、会社との調整が必要
最近では「ワーケーション制度」や「海外ノマドを認める企業」も増えてきており、“会社員ノマド”という新しい働き方が現実になりつつあります。
まとめ
| タイプ | 向いている理由 | 想定職種や働き方 |
|---|---|---|
| IT・Web系フリーランス | 完全オンラインで仕事が完結 | プログラマー、ライター、デザイナー |
| 海外クライアントあり | 外貨収入、継続契約がある | 翻訳、マーケター、動画編集者 |
| 日本の会社員 | リモート勤務実績がある | 正社員、フルリモート可の職種 |
ノマドビザは、働き方の柔軟性と、一定の経済的自立があれば、個人でも十分に取得できる制度です。
「自分にもできるかも」と感じたら、次のステップへ進む価値は大いにあります。
次のセクションでは、「デジタルノマドビザに関するよくある誤解やQ&A」について解説します。
申請前に押さえておくべき不安や疑問をクリアにしたい方は必見です。
まとめ|ノマドビザで選べる新しい暮らし方
これまで解説してきたように、デジタルノマドビザは「どこでも働ける」時代の新しい選択肢として、多くの国が注目し制度化を進めています。
従来の観光や就労ビザとは異なり、“オンラインで収入を得ながら世界各地を自由に移動する”というライフスタイルを可能にする制度です。
最後に、ノマドビザがもたらす暮らしの魅力と、その一歩を踏み出すための心構えを整理して締めくくります。
移動しながら働く生活の魅力
デジタルノマドビザを取得することで、「仕事」も「暮らし」も、場所に縛られずに自由に設計することが可能になります。
主なメリット:
- 世界中を旅しながら、安定した収入を維持できる
- 物価の安い国で生活費を抑えつつ、高水準の収入を得る
- 自然や文化を感じながら、感性豊かな日々を過ごせる
- 現地での交流を通じて、視野が広がり、人間的な成長にもつながる
また、コワーキングスペースやノマドコミュニティも各地に増えており、孤独にならずに“仲間とつながれる環境”も整ってきています。
「旅するように暮らす」ことが、もはや特別ではなく“選べる暮らし”になりつつあります。
自分らしいライフスタイルの第一歩に
ノマドビザは、ただの制度ではなく、これまでの「働き方」「生き方」の常識を見直すきっかけにもなります。
こんな人にこそおすすめ:
- 「会社に縛られない働き方をしてみたい」
- 「日本だけにとどまらず、海外での暮らしを体験したい」
- 「価値観の合う場所で、自分らしく生きていきたい」
大切なのは、完璧な準備や勇気ではなく、「一歩踏み出すこと」。
まずは1カ国、3か月からでも始めてみることで、世界の見え方は大きく変わります。
デジタルノマドビザは、自由な働き方のパスポート。
自分の可能性を広げる旅に出る、その第一歩として、今こそ動き出すときです。
この記事が、あなたの未来の選択肢を広げるきっかけとなれば幸いです。
次に読むべきは、【ノマドビザを発行している国まとめ】や【申請に必要な書類一覧】などの実践的な情報です。内部リンクからチェックして、理想のライフスタイル実現に近づいていきましょう。
そもそもノマドビザとは何か?どうやって取得するのか?という疑問を持っている方は、ぜひ以下のページも参考にしてみてください。
▶︎ 2025年版|デジタルノマドビザ完全ガイド|取得できる国と条件・おすすめ国まで
このページでは、ノマドビザの定義、申請の流れ、必要書類、向いている人の特徴などを網羅的に解説しています。

