「自由な働き方」には準備が必要
パソコン一つでどこでも働ける時代。
「デジタルノマド」として、世界を旅しながら働くライフスタイルに憧れを持つ人は年々増えています。
しかし、自由な働き方の裏には、“自由を守るための準備”が必要です。
特に日本人が海外でノマド生活を始める場合、ビザ・税金・保険といった制度面を正しく理解しておくことが、トラブルを避ける鍵になります。
このセクションでは、「なぜ制度理解が重要なのか?」を丁寧に解説していきます。
ノマド生活には制度面の理解が欠かせない理由
ノマド生活は、単なる「長めの海外旅行」ではありません。
現地に一定期間住み、インターネットを使って仕事を続けるという行動は、多くの国で「労働」と見なされる可能性があります。
そのため、「とりあえず観光ビザで滞在しよう」と安易に始めてしまうと、
- 滞在中に入国管理局の取り締まりを受ける
- 税務上の問題を抱えてしまう
- 急病やケガの際に保険が使えず高額な請求を受ける
といったトラブルが起こり得ます。
こうした問題を避けるためには、どの国で・どのビザで・どのように働き・納税し・保険をどう整えるかを、事前に調べておくことが不可欠です。
ビザ・税金・保険が揃ってこそ“安心して働ける自由”
自由な働き方を実現するには、「いつでも移動できること」だけでなく、制度上も安全・安定して生活できる状態がセットである必要があります。
- ビザが正しく取得されていれば、長期滞在中も心配なく働けます
- 税金の扱いが明確であれば、突然の請求やトラブルも回避できます
- 保険に加入していれば、体調不良や盗難などにも冷静に対応できます
これら3つは、ノマド生活における「インフラ」のようなもの。
整っていれば、より安心して仕事に集中し、滞在そのものを楽しむことができるのです。
次のセクションでは、「ビザの基礎知識」から順を追って、ノマドに必要な制度面の情報をわかりやすく解説していきます。
初めての海外ノマドでも迷わないよう、具体例も交えてご紹介します。
ビザの基本|「観光」ではなく「働く」前提で選ぶ
「ノマドはノマド。パソコンだけで仕事してるんだから、観光ビザでいいんじゃない?」
そう考えてしまう人も少なくありません。ですが、これは大きなリスクを伴う誤解です。
ここでは、海外ノマドとして合法的かつ安心して働くために必要な「ビザの考え方」について、具体的に解説します。
観光ビザで働くのはNG?各国のルールに要注意
観光ビザ(あるいはビザ免除の短期滞在)は、文字通り「観光」を目的とした入国に限られます。
つまり、滞在中に収入を得る行為(=労働)を行うことは基本的に禁止されているのです。
たとえ日本からの収入であっても、「現地で働いている」とみなされる可能性があります。
たとえば:
- カフェやコワーキングスペースで毎日仕事していた → 入管に「就労活動」と判断されることも
- Airbnbの滞在先に長く居続けた → 賃貸契約がないのに長期滞在と疑われる
- SNSで「海外ノマド生活中」と発信 → 税務当局にチェックされることも
バレなければ大丈夫、という考え方は通用しない国も多いため、最初から適切なビザを取得しておくことが賢明です。
ノマドビザ・就労ビザ・フリーランスビザの違い
現在、多くの国で「リモートワーカー向け」の特別なビザ制度が整いつつあります。
代表的なのは以下の3種類です。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| ノマドビザ | 特定の雇用主に属さず、国外のクライアントから収入を得る人向け。月収・保険加入が条件の場合が多い。 |
| 就労ビザ | 現地企業との雇用契約がある人向け。企業スポンサーが必要で取得難易度が高め。 |
| フリーランスビザ | ドイツなど一部の国で用意されており、現地で自由業として働く人が対象。収入計画の提出などが求められる。 |
あなたの働き方に合ったビザを選ぶことが最重要です。
例えば「フリーランスで日本の顧客から収入を得ている」という人は、ノマドビザが最適となるでしょう。
滞在予定国のビザ制度をどう調べるか(公式サイト・大使館情報)
ノマドに人気の国は増えていますが、ビザ制度は頻繁にアップデートされるため、情報源の信頼性が非常に重要です。
おすすめの調べ方は以下のとおりです。
- 各国の大使館・領事館の日本語ページ
→ 最新の取得条件や申請方法を確認できる - 外務省「海外安全ホームページ」
→ 各国の治安情報やビザ制度の概要を掲載 - 政府観光局や移民局の公式サイト(英語)
→ デジタルノマド向けビザのページがある国も
調べた情報はブックマーク・PDF保存・スクリーンショットで記録し、申請時に備えておくと安心です。
正しいビザで滞在することで、安心して働きながら海外生活を楽しむことができます。
次のセクションでは、ノマド生活でも見落とされがちな「税金」について詳しく解説していきます。
税金の仕組み|海外に住んでも日本の義務は消えない?
「海外に住んでいるんだから、日本の税金は払わなくていいよね?」
実はそうとは限りません。
ノマド生活を始めるにあたって、税金の仕組みをきちんと理解しておくことは非常に重要です。
特に日本人が見落としがちなのが、「どこに住んでいても、日本に納税義務が残る可能性がある」という点。
このセクションでは、税金に関する基礎的な考え方と、実際にノマドに人気の国々の制度を比較して解説していきます。
居住地と課税対象の違いとは?「非居住者」の定義
日本の税法上、「誰に税金を課すか」は「居住者」か「非居住者」かで決まります。
居住者とは?
- 日本に住所がある人
- または、1年のうち183日以上日本に滞在している人
非居住者とは?
- 日本に住所も居所もなく、1年のうち183日未満しか日本にいない人
この定義により、ノマドとして海外に長期滞在する場合、「非居住者」になる可能性が出てきます。
非居住者になると、日本での課税対象は原則として「日本国内源泉所得(日本国内からの収入)」のみに限られます。
ただし、以下の点に注意が必要です:
- 日本の銀行口座に振り込まれる収入は、源泉徴収されることがある
- 居住者・非居住者の認定は、自己申告ではなく税務署が判断する
日本の住民税・国民年金・所得税はどうなる?
日本を離れた後、税や社会保険の扱いをどうするかは事前に整理が必要です。
住民税
- 1月1日時点で日本に住民票があると、その年の住民税は課税対象となる
- 長期出国前に住民票を抜くことで、翌年以降の住民税を回避できる
国民年金
- 任意加入が可能(将来の年金受給資格のために継続する人も多い)
- 免除申請や海外転出届の提出で調整可能
所得税
- 日本の顧客からの収入 → 日本国内源泉として課税対象になる可能性あり
- 「非居住者届」を出すことで、日本の課税対象から一部外れることも可能
ノマド生活に入る前に、税務署や年金事務所で相談するのが確実です。
各国の税制比較|ジョージア・ドバイ・タイなど
海外ノマドに人気の国々では、外国人向けの優遇税制を設けているところも多くあります。
ジョージア(グルジア)
- 日本人はビザなしで最大1年滞在可能
- 個人事業登録を行えば「小規模ビジネス制度」で税率1%
- 年間売上制限(約12万USD以内)あり
ドバイ(UAE)
- 所得税・キャピタルゲイン税ゼロ
- 法人設立後は、特定条件下で個人所得非課税
- ただし生活コストは高めで、会社設立には初期費用が必要
タイ
- 一定条件を満たせば、外国からの収入は「非課税」扱いにできる(リミッテッド・リマittanceルール)
- ただし、タイでの就労は禁止される場合あり。ノマドビザは現在導入準備中
国によっては「滞在日数が長くなると課税対象になる」ことも。
年間の滞在スケジュールをしっかり管理することが大切です。
税制はとても複雑に見えますが、基本のルールと各国の特徴を抑えれば、無駄な納税やトラブルを避けることができます。
次のセクションでは、意外と見落としがちな「海外での保険の備え」について解説していきます。
保険の選び方|病気やトラブルへの備えをどうする?
デジタルノマドとして海外で暮らすと、体調不良やケガ、盗難など日本では想定していなかったリスクに直面する可能性があります。
特に長期滞在をする場合、適切な保険の選び方が安心して働くための土台になります。
ここでは、海外ノマドにとって必要な保険の種類や、日本の保険制度との関係、加入方法の具体例を紹介します。
海外ノマドに必要な保険の種類(医療・盗難・キャンセル補償)
ノマドとして長期で海外にいる場合、一般的な「旅行保険」ではカバーされないことがあります。
特に以下の3つは要チェックです。
① 海外医療保険(入院・通院・処方薬など)
- 高額な医療費がかかる国(アメリカ・欧州など)では必須
- 救急搬送・手術・キャッシュレス診療対応のプランを選ぶと安心
② 損害・盗難保険
- ノートパソコンやスマートフォンなど、高価な電子機器を持ち歩くノマドに必須
- 外出先での盗難・破損時に保険適用されるかを確認
③ 渡航キャンセル・航空機遅延補償
- フライトがキャンセル・遅延された場合の宿泊費・交通費補償
- 自然災害・パンデミックなどの「予測不能な事態」への備えにも
ビザ申請時に「海外医療保険の加入証明」が求められる国も多いので、申請前に準備が必要です。
日本の国民健康保険は使える?使えない?
基本的に、日本の国民健康保険は海外では直接使えません。
しかし一部のケースでは、一定の手続きによって「払い戻し」を受けることが可能です。
国民健康保険の海外療養費制度(要申請)
- 日本の医療制度と同等と認められる治療に対して、費用の一部が返金される
- 原則、全額自己負担 → 後日請求書・診断書・翻訳提出 → 払い戻し
- 申請には厳格な条件と書類が必要。即時対応には不向き
また、住民票を抜いた場合、国民健康保険自体が脱退扱いになるため、海外に住む場合は代替の民間保険が必須となります。
海外保険の加入方法とおすすめサービス
ノマド向けの保険は、短期旅行用ではなく「長期滞在・リモートワーク前提」のプランを選ぶことが大切です。
加入方法の例:
- クレジットカード付帯保険 → 最長3ヶ月前後で期限切れになる点に注意
- 民間の海外旅行保険 → 滞在期間に合わせて契約(保険料はやや割高)
- 国際的なオンライン保険(グローバル対応)
→ デジタルノマド向けサービスも増加中
おすすめ保険サービス例(2025年時点):
| サービス名 | 特徴 |
|---|---|
| SafetyWing | ノマド向けに特化した保険。月額制・自動更新可能。 |
| World Nomads | 世界中の旅行者・ノマド向け。高額補償にも対応。 |
| AIG海外長期滞在保険 | 日本語対応・信頼性高いが、やや高額。 |
各サービスは「国ごとの対応」「保険金支払条件」が異なるため、公式サイトで細かい内容を比較することが重要です。
病気・事故・盗難などのリスクは、いつどこで起きるか分かりません。
「保険に入っておいてよかった」と思える日は、何も起きなかった日なのです。
次のセクションでは、ノマド生活に向けての「事前準備チェックリスト」を具体的にご紹介していきます。
事前に準備しておくべきことチェックリスト
デジタルノマドとして海外に出る前には、ワクワクする準備だけでなく、制度面・書類面の「地味だけど重要な手続き」も必要です。
準備を怠ると、ビザ申請が通らない・税金トラブルに巻き込まれる・医療費が自己負担になるといったリスクに直結します。
ここでは、初めての海外ノマドでも安心して出発できるよう、出国前に整えておきたい具体的な準備項目をまとめました。
英文の収入証明・残高証明
多くのノマドビザでは、「安定した収入があること」や「一定額以上の預金残高」が条件になっています。
主な準備書類
- 英文の収入証明書(給与明細・確定申告書・契約書など)
- 銀行の英文残高証明書(銀行窓口やネットバンキングで発行可能)
銀行や証明書の発行には時間がかかる場合があるため、出発の1か月以上前から準備を始めるのがベストです。
住民票の移動 or 維持の判断基準
住民票を日本に残すか、海外転出届を出すかで、納税義務・国民健康保険・年金の扱いが大きく変わります。
住民票を残す場合(転出届を出さない)
- 住民税・国民年金・健康保険は原則として支払い継続
- 日本の公共サービス利用や選挙権の維持が可能
転出届を出す場合(海外移住を届け出る)
- 住民税の支払い義務が原則消滅
- 国民健康保険は脱退
- 国民年金は「任意加入」へ切替え可能
長期ノマドを前提とするなら、転出届の提出を検討するのが一般的ですが、ライフプランに応じた判断が必要です。
保険・年金・税金に関する公的手続き
日本にいる間に、次の手続きを行っておくと、海外滞在中のトラブルを防げます。
- 市役所での住民票・国民健康保険・年金に関する手続き
- 税務署での「非居住者届出書」「納税管理人の届出」などの申請
- 年金の「任意加入」や「免除申請」の確認
- マイナンバーカードの更新・暗証番号の再設定(国外では再発行不可)
特に「納税管理人」を日本に指定しておくと、海外在住中でも税務書類を適切に受け取れます。
クラウド会計・海外送金ツールの準備
ノマド生活では、どの国からでも仕事とお金の管理がスムーズに行える仕組みづくりが鍵です。
会計・請求書発行ツール
- 弥生オンライン/freee/Money Forward
- 海外の取引先にも対応した多通貨請求書の発行が可能
海外送金・受け取りサービス
- Wise(旧TransferWise)|送金手数料が安く為替レートも優秀
- Payoneer|海外取引に強く、多通貨口座としても利用可能
海外での銀行口座開設は難しい場合もあるため、クラウド型の送金・会計システムを出発前に整備しておくのが鉄則です。
このチェックリストをもとに準備を進めておけば、現地で焦ることなくノマド生活をスタートできます。
次のセクションでは、「よくある質問」とその回答をまとめてご紹介します。ノマド準備中に感じる不安も一つずつ解消していきましょう。
まとめ|制度理解でノマド生活はもっと自由になる
デジタルノマドとして海外に拠点を移すことは、自由で柔軟な働き方を手に入れる選択です。
しかし同時に、「税金」「ビザ」「保険」といった制度に対する正しい理解と準備がなければ、その自由はすぐに不安に変わってしまいます。
ここまで紹介してきた内容は、ただの手続きではなく、安心して海外で働くための“セーフティーネット”でもあります。
法律と制度を味方にして、安心して海外へ
「知らなかった」では済まされないのが、海外生活のリアル。
しかし逆に言えば、制度やルールを事前に知っていれば、あなたのノマドライフは何倍も快適になります。
- ノマドビザ → リスクなく長期滞在できる
- 税制 → 二重課税や違法状態を回避できる
- 保険 → いざという時の金銭的・精神的ダメージを軽減
「制度を学ぶこと=自由な働き方を守ること」 という意識が大切です。
まずは1カ国・1年のノマド計画からスタートしよう
最初から「何年も海外で生活しよう」と考えると、不安も大きくなりがちです。
だからこそ、最初は「1カ国に1年間」滞在するつもりで計画を立てるのが現実的です。
- どの国が合うか、試してみる
- 実際の生活コストや仕事環境を肌で感じる
- 必要があれば途中で軌道修正すればいい
この柔軟なスタンスこそが、ノマドという生き方の最大の武器です。
ノマドビザの基本を知りたい人は
より詳しいビザ制度の仕組みや、取得可能な国の条件・比較などを知りたい方は、下記のページをご覧ください。
👉 2025年版|デジタルノマドビザ完全ガイド|取得できる国と条件・おすすめ国まで
制度の理解は、あなたの行動力に安心と確信を与えてくれます。
迷ったらまずは情報収集から。あなたの「自分らしい働き方」への一歩を応援しています。

